デザインには社会を、世界を変えていく力がある  by立川裕大

厳選食材 かわしま屋です。こんにちわ。

先日読んだ本です。


デザイナーへの道を知る 30人の言葉

デザイナーへの道を知る 30人の言葉




30人のデザイナーの方々が
仕事とどう向き合っているのかを語っている本です。
ぐさぐさと心臓に刺さってくる言葉がたくさんありました。

中でも立川裕大さんの以下の部分には
とても共感いたしました。





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「このころ、デザイナーの城谷耕生さんと知り合い、
彼が仕事場を構えるミラノにちょくちょく行くようになりました。


そこでアキッレ・カスティリオーニエンツォ・マーリ
出会った。そうしたデザイナーたちの話を聞くうち
デザインというのは決して表面的な美しさや機能性だけのものではないと
気づいたんです。


彼らはあらゆるシーンでの「必要性」を見つけ出し、
その解決の手段にデザインを当てているんですね。

カスティリオーニは生活の中で解決したいことがあるから
そのためのデザインをしているし、マーリは社会主義的で
労働者の自由と労働の尊厳を守るという明確な目的をもってデザインしている。


そういう思想、社会観があってこそ、
デザインという行為が意味をなすのっだとわかったんです。


同時にローマ在住の舞台演出家、多木陽介さんとも話す機会が多くありました。
彼は人類の未来を見据えているような人で、
「デザインを使って人の欲望をあおることに荷担してはいけない」
という。


欲望をあおる厚意は企業に一時の利益をもたらすだけで、
人々の生活や社会の改善には役立たないと。
それはイタリアデザインの根底に流れる思想でもあるのですが、
日本にとどまっているとそういう「デザインの意義」が見えにくい。
表面だけを変えて新たな欲望を生み出すことを目的として
デザインが多すぎるからです。
 

僕も東京だけにいたら、疑問をもたないまま
コマネズミのように欲望の車輪をこぎ続けていた
かもしれません。


イデオロギーというわけではないけど、
「社会観をもつ」「欲望をあおらない」という点は譲れない。
ブレずにいたいと思っています。


2005年に発表した「ubushina」は竹細工や漆塗りに代表される
伝統的な職人の技術と、現代のデザインを結びつけて新しいものを
生み出そうというプロジェクト。
ブランドではなくて「仕組み」です。
いま、日本のものづくりを見直す機運が高まっていて、それに応えるという
側面もあるけれど、ゴールはそこではない。


大口たたいていると思われるかもしれませんが、
僕はいつか発展途上国でubushinaをやりたいんです。
その土地で培われてきた手仕事をデザインと融合させて
グローバルに通用する製品にし、世に送り出したい。
そうやってその土地固有の文化を消失させることなく経済力を
高めていければ、デザインの意義は大きい。


今後のデザインはそうした理念、社会観をもって取り組んでいかないと、
「またか」と思われるだけで、新しいものを生み出していくことなど
できないでしょう。
表面を消しゴムでけし、去年と違う線を引くだけの行為をデザインと呼ぶのなら
そこに進歩はないのです。


社会の中にある不幸や不安や不条理を
デザインという手段をつかって解決できるなら、
ノーベル平和賞だってとれるかもしれない。
事実、バックミンスター・フラーは候補になったでしょう?
wikipedia:バックミンスター・フラー
社会に根ざしたデザインにはそれだけの力があるんです。



・Buckminster Fuller